普段NASを設置していてファイル移動は主に有線LANを用いて行っている。
このような人にはLANの高速化は利便性が向上する。
以降、高速化の方法としてジャンボフレームの導入について説明していきます。
概要
1ギガイーサにおいて過去の規格と互換性を保つために送信できるパケットのサイズが制限されている。
それを取り払ったのがジャンボフレームである。
パケットのサイズが大きくなるとヘッダ(送信先や送信元などの情報)によるオーバーヘッドが減り通信の効率が良くなる(ただし送信量が多いときなど)。
ジャンボフレームは正式な規格ではないため基本的には初期状態ではオフになっている。そのため自分で設定する必要がある。
ただし、高速化はできるが正式な規格に含まれていないためトラブルに合う可能性もあることに注意したい。
準備
ジャンボフレームを導入するには通信経路のすべての機器が対応していなければならない。
たとえば、PCとNASがハブを介して通信している場合はそれら3つがすべて対応していなければならない。もちろん、ギガビットイーサである必要がある。
導入方法
通信経路上の機器でジャンボフレームをオンにすればいいだけである。
ここではMACでの設定方法について説明する。
NASの設定方法は各機器の説明を参照してもらいたい。
ハブなど設定ができない機器は最初からオンであるようである。
なおWindowsではNICドライバの設定で可能なようである。
MACでの設定方法
- システム環境設定を開く
- ネットワークを開く
- 左側の欄で有線LANを選択する(Ethernetと表示されている)
- 右下の詳細を開く
- ハードウェアタブを開く
- 構成を手動、速度を自動設定、MTUをカスタムにし、下の欄を9000にする。
効果計測
実際に通信速度が向上したか計測してみます。
計測はよく使うプロトコルで行いましょう。
今回は以下の3つについて説明していきます。
- FTP
- SMB
- AFP
準備
計測の前に送受信のファイルを準備しておきます。
今回はddコマンドを用いました。
送受信ファイルのサイズは1GByte。
FTP
まず、計測を行う前に通信に用いる端末でFTPを利用できる用にします。
Windows, Macではおそらく最初から利用できます(ファイアウォールの設定が必要かもしれません)。
私の環境での結果です。
今回の計測ではジャンボフレーム7000での結果です。
受信ではデータを保存しないようにしているために保存先のデバイス(HDDなど)に依存していません。
ジャンボフレームなし
送信速度:4.08 MiB/s
受信速度:5.13 MiB/s
ジャンボフレームあり
送信速度:7.65 MiB/s
受信速度:6.71 MiB/s
SMB/AFP
計測前に共有フォルダをマウントしておきます。
SMBではNAS(ジャンボフレーム7000)が通信相手です。
AFPではMAC(ジャンボフレーム9000)が通信相手です。
この方法では設定を変更した後、再起動が必要な場合があります。
SMB
ジャンボフレームなし
送信速度:2m5.415s
受信速度:1m26.023s
ジャンボフレームあり
送信速度:1m34.159s
受信速度:0m51.539s
AFP
ジャンボフレームなし
送信速度:27.489s
受信速度:6.336s
ジャンボフレームあり
送信速度:26.830s
受信速度:6.019s
結論
ジャンボフレームを導入するとFTPとSMBは高速になるようです。
AFPは効果が少ないかもしれません。
LAN内でSMB, FTPをよく利用する人はできるだけ導入するといいでしょう。
AFPは効果を検証してみた方がいいかもしれません。